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個人再生で通帳に使途不明金がある場合
1 使途不明金は個人再生の可否や個人再生後の返済額に影響します
個人再生の申立て準備や、手続きにおいては、債務者の方が持っているすべての預貯金口座の通帳に記載された履歴を精査します。
入出金履歴のなかに、使途不明金(特に出金)がある場合、裁判所や再生委員からその理由や目的について説明を求められることが多いです。
使途が明らかにならない場合、申立ての正当性の判断や清算価値の算定に影響を及ぼし、個人再生の認可が得られない可能性や、個人再生後の返済額が多くなる可能性があります。
したがって、使途不明金がある場合は、できる限り書類やデータ、記憶などを元に事情を説明できるよう、予め準備しておくことが大切です。
2 使途不明金が問題になる理由
個人再生は、債務者の方の経済的な立ち直りを主な目的とする制度ですが、一方で債権者には大きな負担が生じるものでもあることから、手続き上、債権者の保護も要求されます。
出金履歴があるにもかかわらず、その使い道の説明ができない場合、資産の隠匿を疑われることがあります。
また、個人再生には、債務者の方が保有している財産の評価額(仮に破産したとしたら債権者に配当されたであろう金額)以上の金額を返済しなければならないというルールが存在します。
このルールは、専門的には清算価値保障原則と呼ばれます。
預貯金を現金化して隠すことや、親族等に送金して見かけ上他人名義の預貯金にした場合、清算価値を不当に減らし、債権者への返済額を下げることにつながりかねません。
3 清算価値への影響
先述の清算価値保障原則により、個人再生をした場合、仮に破産したとしたら債権者に配当されたであろう金額以上の金額を返済する必要があります。
使途不明金がある場合、個人再生手続きが棄却されることもあり得るほか、手続きが開始されても、清算価値に加算される可能性があります。
たとえば、過去の預貯金の引き出しや送金のうち、調査をしても説明できない部分は保有財産とみなして清算価値に含められることも考えられます。
この場合、結果として、返済額が増えてしまうことになります。
通帳の履歴の中に使途不明の入出金がある場合、事前に弁護士と協議し、正当な理由があるものについては、正当性を説明するための準備をすることが大切です。
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